静岡、藤枝の杉井酒造さんで杉井社長にみりんのことを教えていただいたときのことの続きです。
(画像の亀は杉井社長のところのお庭にいた亀。なんだか可愛かった。)
さて、
「日本酒とみりんの違いは?」
と聞かれてすぐ思いつくことは
・原料米は日本酒はうるち米、みりんはもち米
・作り方は日本酒は並行複発酵、みりんは度数の高いアルコール分(焼酎など)を添加する
・結果として日本酒は糖濃度が低いけれど、みりんは糖濃度が高くなる(あたりまえだけど)
この3つくらい。
みりんの使用目的を考えればわかることだけれど・・・
実際には作っていて何が違うのか、
それから美味しいみりんを作るポイントはどこにあるのか、
それを教えていただきました。
まず、もち米を掛米(麹米でない方)に使うことについて
簡単に言ってしまうと、米粒構造が起因してもち米の方が溶けやすいらしいです。
みりんは最初に、麹米(これはうるち米)と蒸した掛米(これがもち米)、高濃度の焼酎(Alc度数40°くらい)で仕込みます。
高濃度のアルコールの中でも糖化(でんぷんが糖分に変わる)しやすいのが、もち米なんだそうです。
うるち米で仕込むと糖化が止まってしまうこともあると本に書いてありました。
でも、麹はうるち米の方が作りやすいので、うるち米を使っています。
アルコール度数が高濃度の焼酎などを仕込みの最初に添加する理由は、腐敗防止のためでした。
糖濃度を高く仕上げるために、酵母が入ってアルコール発酵しないようにするためもあるのかと思っていましたが、違いました。(お酒になるの方が嬉しいとすぐ思ってしまう私・・・)
仕込み配合を聞いてみると、水分がほとんどない状態でスタートします。
多分、最初タンクの中はちょっぴり水分を吸った炊きたてご飯の山みたいな感じです。
最初は重たくて櫂もほとんど入らない状態なんだそうです。
だから、腐敗防止のために高濃度のアルコールを入れるんですね。
なるほど~。
考えてみればそうですよね~。
それから、2日目にもう一度原料を入れる。
(日本酒は3段仕込み、みりんは作業上の都合で2段)
ここから、タンクの中では微生物たちの働きがあって分解、溶解、糖化などの工程が続いて、醪期間は約2カ月。
(日本酒は1カ月前後)
それから、酒袋で搾って、みりんの液体とみりん粕になります。
(このみりん粕がほんのり甘くて、美味しい!)
だいたい、こんな感じで出来上がりなんだそうです。
さて、ここからは杉井酒造さんの『飛鳥山』のこだわりを・・・
まず、仕込みに使う焼酎は、杉井酒造さんで作っているものを使っています。
原料から全部確認できるってことですね。
蒸留器をみせていただいたら、ちょうど「そば焼酎」を蒸留しているところでした。
それから、杉井社長は「みりんの味は原材料の良し悪しで8割決まる。」とおっしゃっていました。
私は外から見ているだけだけれど・・・
日本酒の場合は造り手さんの技量が7割近くお酒に影響する気がするけれど、みりんは違うんですね。
『飛鳥山』は他のメーカーさんより、高精白でした。
だから、飲んで美味しいきれいな味わいなんですね。
それから『飛鳥山』は火入れをしないそうです。
これだけ糖濃度が高ければ、成分は安定するし、熱処理しなくても汚染の心配もそんなにありません。
でも、大手メーカーが火入れをするのは何故?と思っていました。
昔はみりんは酒袋(小さい袋)で搾っていたそうなのですが、今は大手メーカーはヤブタ(アコーデオンのお化けみたいな機械)でします。
ヤブタの衛生状態による汚染の心配をしなくていいように、火入れしてしまうそうです。
それから、あまり精白をしていないお米をたくさん溶かすと、タンパク成分が出てくるので、火入れすることによってオリとして取り除きやすくなるそうです。
なるほど、杉井酒造さんでは手間をかけているからあの『飛鳥山』の味わいになるのですね。
『飛鳥山みりん』をただの調味料とあなどってはいけません。
リキュールより美味しいと、食後にお客様に飲んでいただくという飲食店さんがいらっしゃいました。
デザートワインのように冷やして楽しむのは、古い時代からあった習慣のようです。
2番目の画像は搾る数日前の醪。
3番目の画像はそれをすくって味をみさせていただいたときのもの。
熟成前なので、まだ色がついていません。
とても勉強になりました。
杉井社長、ありがとうございました。
京子