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2月の終わり、以前から気になっていた佐賀の「矢野酒造さん」に伺った。
『肥前蔵心』 お取引はさせていただいてはいたが、訪れたのは初めてだった。
日曜日でお休みだというのに、まるで10年ぶりの再会かのような温かい、爽やかな笑顔で出迎えてくださった。
国の有形文化財にも指定されたという何とも風格を感じさせる構え。
お酒の話はもとより、いろいろな話を伺い、何と4時間近くお邪魔してしまった。矢野社長の人生観、蔵の中で行われるイベントの話、奥様が時間を見つけては訪れるという神社の話、等々。
 ▲ お参りする矢野社長 |
それから、特別純米と純米吟醸の生原酒をきき酒させていただいた。
暖冬の上に酒米の出来も心配された今年度の造りは如何に……。
涼しげな含み香と柔らかな米の旨みが深く拡がるその瞬間、鋭く切れ、新酒ならではのわずかな渋さが残る。
米自体かなり例年よりよく溶けたようだが、きれいな酸とこの渋さがあれば大丈夫。ひとまず安心した。
蔵元の人柄が酒に表れるとはよく耳にすることだが、この矢野社長が醸す酒はまさにその通り。
繊細で澄んだ旨さと涼しげな含み、なおかつ芯が崩れない。
『肥前蔵心』は、矢野社長の強い精神を感じずにはいられない。
穏やかなお人柄でいながら強い精神力を持つ矢野社長と、影で支える信心深い奥様、このお二人が二人三脚で体を張って守っている蔵元という印象を強く持った。
酒の素晴らしさもさることながら、夫婦が力を合わせて生きていくとはこういうことかもしれない。帰りの電車の中で夕焼けを見ながら、そんなことを考えた。
店主
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