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『日置桜』『青水緑山』などの正統派のお酒、最近では古酒ブレンドの『山笑ふ』など個性的なお酒も醸す蔵……、というより私にとっては特別の思い入れのある『日置桜強力』を造る、鳥取県青谷市にある「山根酒造さん」に伺いました。
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 ▲ 日置桜の名前の由来となった桜 |
『日置桜純米吟醸強力』は私が日本酒の深み(?)に、はまるきっかけとなったお酒です。
結婚以前から日本酒は好きで飲んでいましたが、新潟酒がやや落ち着き、吟醸酒ブームへ移行する頃でした。会社の同僚と行く居酒屋や上司に連れて行ってもらう小料理屋で飲むお酒は、常温では飲み進まない、一口で充分という感じがして、冷やさないと飲めない、日本酒とはそんなものだと思っていました。
何年か前に『日置桜強力純米吟醸』を初めて飲んだとき、日本酒の印象が変わりました。キリッと引き締まった輪郭、鮮烈だけれど、きれいでとげのない酸、あとからやってくる抜群の旨み。そしてそれらの味わいのバランスがとてもいい。
口当たりが良く、霜降り状の脂身の多い肉に慣らされた舌が、短角牛の筋肉質な赤身の旨さに目覚めたといった感じでしょうか。ある意味、青天の霹靂でした。
とにかく何か美味しい食べ物と一緒に飲みたいお酒だなぁ、という印象を強く持ちました。
そして食事をしながら飲んでいると、今度はなぜかお酒を冷やさないで飲みたくなる。常温でお酒を飲むことがこんなに美味しいのかと、自然に気付かされたお酒でした。
主人は、先代の社長である山根社長のお父様の頃、酒蔵に伺ったことがあります。美味しいものに詳しく、豪快なお人柄だったと伺っていました。
今の山根社長ときちんとお話をさせていただくのは、私は今回が初めて。
宴会の席で、『強力』の持つ独特の「酸」のそんな話をすると、山根社長は、「日本酒において酸の扱いが大事というのは、じいさんの死に際に聞いた」とのこと。
これは宴席を盛り上げる作り話のような気もしますが(山根社長らしいサービス精神の表れかな?)、味覚における「酸」の捉え方を、しっかり考えていらっしゃる蔵元であるというのはお酒を飲んで、いつも実感することです。
今回の山根酒造さん訪問は、北海道室蘭市の(株)酒本商店の酒本社長と、そのお客様たちとご一緒させていただきました。
酒本社長は一度きき酒をしたお酒は忘れないという逸話があるくらい、きき酒能力にたけていらっしゃる、大先輩の酒販店さんです(経験が大先輩で、年齢が大先輩ということではないです、念のため)。
山根社長と酒本社長のお話の中で、今期の造りで初めて山根社長が出会ったという、内田農園の方が作られた酒米の話がでました。
お父様の頃からすでに契約栽培に積極的に取り組んでいたそうで、山根社長は酒米に対するこだわりを強く持っていらっしゃいます。お米の分析データをとても研究しているようにお見受けしました。
独特のこだわり方で、粗蛋白が非常に少ないお米を作っている、内田農園さんのことを話してくださっているうちに話はどんどん進み、今の蔵元はもっとお米を作る農家に意見を言うべきだ、もっと農家と一緒に切磋琢磨するべきだという話にもなりました。
お米を作る農家の話。私は深く考えたこともありませんでしたが、本当はもっと私たち酒販店も、知るべきことなのだなと感じました。
これだけ、酒米にこだわる山根酒造さんですから、精米は自家精米です。
「精米機でベンツが○台」と酒本社長がポツリ。うーん、ベンツと精米機。究極の選択?

▲ 内田農園の酒米 玄米の状態 |

▲ 精米機について説明をしてくださる山根社長 |
今年の新酒をタンク別にきかせていただきました。『強力』はすべて7号酵母で仕込んで、内田農園さんの山田錦で生酛も仕込んでいらっしゃいます。これからどんな風に熟成させていくのか、とても楽しみにしています。
山根社長、松崎杜氏、お忙しい中ありがとうございました。
京子
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